DNA

細胞外に存在する脂質二重膜で囲まれた粒子のことを細胞外小胞と総称されます。さらに、エンドソーム由来のものをエクソソーム、形質膜由来のものをマイクロベシクル又はエクトソーム、アポトーシス由来のものをアポトーシス小胞と呼ばれています。それぞれの由来を正確に区別することは難しいため、直径サイズから small EV(<200 nm)、large EV と区別することもあります。細胞外小胞の存在は 1960 年代頃から知られていましたが、その分離方法や同定・分析技術は未だ発展中であり、生物学的意義の解明や応用技術の進展が期待されています。

DNAの構成

エクソソームはほぼ全ての細胞から生成される直径40〜160 nm程の小胞です。由来の細胞に応じて、タンパク、RNA、DNA、アミノ酸、代謝物等多くの成分を含んでいます。
エクソソームに含まれるタンパクには CD9、CD63、CD81 があり、膜融合、シグナル伝達、タンパク質輸送に関与していると考えられています。さらに、Alix 、Flotillin、TSG101、細胞骨格タンパクのアクチンとミオシン、熱ショックタンパク質の Hsp70 や Hsp90 なども含まれています。また、エクソソームには最大500の異なる miRNAが含まれています。アポトーシス小胞のDNAは断片化されているのに対し、エクソソームのDNAは完全なゲノムを含むことが多いとの報告があります。
エクソソームは細胞間コミュニケーションに役立っており、免疫系、生殖系、代謝疾患、心血管疾患、神経疾患、がんの進行など、組織の恒常性や疾患に関連していると考えられています。

DNAの構成

エクソソームは血液や尿などの体液にも存在しており、体液中のエクソソームを調べることで網羅的に病気の診断や、治療効果の確認が可能になると期待されています。体液を用いた診断方法をリキッドバイオプシーといい、被験者の身体への負担が少なく繰り返し検体を採取することができます。 エクソソームの分離技術は、超遠心分離法、高分子添加剤沈澱法、免疫沈降法、密度勾配遠心分離法、サイズ排除クロマトグラフィー法、マイクロ流路デバイス法などがありますが、エクソソームの回収量は条件によって異なるため、安定した解析のためには高度な技術が必要となっています。応用技術の開発に向けて分離技術も発展中の分野です。 このようなエクソソームですが、効率的に目的の細胞に分子を届けることが可能と考えられ、ドラッグデリバリーシステム(DDS)や細胞治療の代替としてセルフリー治療法といった医薬品としても注目されています。