DNA

生物はDNAからなる遺伝子を元に生命活動を行っています。五炭糖とリン酸と塩基で構成される分子をヌクレオチドと呼び、ヌクレオチドが連結しDNAが構成されます。DNAには塩基の異なる4種類があり、このたった種類の並び方や数の違いが生物を特徴付けています。DNAは二重らせん構造を取りますが、お互い対をなす塩基が決まっており、アデニンに対してチミン、シトシンに対してグアニンが結合しています。そのDNAのうち、生物の形質を現す元となる情報の部分が遺伝子です。
なお、一部のウイルスはDNAではなくRNAを遺伝情報としています。

DNAの構成

1952年にアルフレッド・ハーシーとマーサ・チェイスがバクテリオファージを用いた実験で遺伝子の本体がDNAであることを示しました。また、1953年にはジェームズ・ワトソンとフランシス・クリックがX線回折をヒントにDNAは二重らせん構造を取っていることを解明しました。

ヒトゲノム

ヒトの全ての遺伝情報を含んだDNAの全体的な配列のことをヒトゲノムと言います。ヒトゲノムは、ヒトの全ての細胞に存在し、約30億塩基対の長さを持ちます。また、ヒトゲノムの99%以上は全てのヒトに共通してします。
ヒトゲノムの解読により、約2万2千の遺伝子が同定されています。これらの遺伝子は、ヒトの形質や機能を制御する役割を持ち、遺伝子の変異によって疾患が引き起こされることがあります。また、ヒトゲノムには、遺伝子以外にも、リピート領域や非コーディングRNAなど、未解明の領域が存在しており、今後の研究が求められています。
現在では、次世代シーケンサー(NGS)と呼ばれる高速なDNA解読技術の発展により、ヒトゲノムの解析が劇的に進化し、医療分野だけでなく、生物学や進化学の研究でも多大な貢献をしています。